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［東京　２０日　ロイター］　日銀による追加金融緩和をきっかけとする円安が日本株を押し上げている。２０日に開くユーロ圏財務相会合でギリシャに対する追加支援が決まれば欧州危機収束に向けて前進するとの期待感もあり、日経平均は好材料を先取りする形で上昇ピッチを速めている。

当面売り材料は見当たらないが、買いポジションを積み上げつつある投機筋の動向は今後の波乱要因になり得る。

２０日の東京株式市場で日経平均は昨年８月４日以来、約６カ月半ぶりに一時９５００円台を回復した。きょうのユーロ圏財務相会合でギリシャ支援の合意が見込まれるほか、中国の預金準備率引き下げ、円安など好材料が目白押しとなり「海外勢に加え、個人や国内運用資金も押し目を待ち切れず動き出している」（大手証券）との声が出ている。

欧州中央銀行（ＥＣＢ）が２９日に実施する３年物資金供給オペ第２弾への期待も大きい。ロイター調査によると、３年物オペ第２弾での供給額は最低５０００億ユーロに達するいう。第１弾と併せた供給額は約１兆ユーロとなる。この額は今年返済期限を迎える銀行債務総額の約１４０％に相当する。「欧州ソブリン問題は銀行資本への影響を与えない限りもはや危機ではない。６月末に欧州銀行の資本増強が完了すれば欧州金融危機は一応の幕引きとなる。今後の米経済指標次第では米金利先高観が浮上し、年後半に１ドル８５円程度の円安に進む可能性がある。相対的な日本市場の魅力は増す」（ＳＭＢＣ日興証券チーフエコノミストの牧野潤一氏）との指摘もある。

株式市場は好材料を前倒しで織り込み続けているが、このまま過剰流動性相場が加速すればリスクも膨らむ。

足元では商品投資顧問業者（ＣＴＡ）やヘッジファンドなど投機筋の買いポジション積み上げが進んでいる。目立つのがニューエッジやクレディ・スイスなどＣＴＡの注文を扱っているとみられる証券会社の先物買い手口だ。市場筋によると、２月１０日現在の先物建玉とその後の手口を合算すると、日経平均先物でニューエッジが６６００枚、クレディスイスが２６００枚程度の買い越しになっている。年初に大幅な売り越しだった投機筋は機敏に買い転換したことになる。「ＣＴＡの先物買いは証券自己のインデックス買いを通じて裁定買い残に置き換わる。このまま買いポジションが積み上がれば将来の波乱要因になる」（準大手証券マーケットアナリスト）という。

ＣＴＡなどの投機筋は年前半に勝負するとの思惑もある。７月２１日から米国の銀行等に自己勘定取引を原則として禁止するボルカールールが施行されると、膨らんだ流動性が収縮し、動きが取りにくくなるリスクがあるためだ。「今は異常なほど過剰流動性に反応している」（同）という投機筋のポジションはいつ反転するか分からない。

過剰流動性の背景で進行する原油高も両刃の剣だ。オイルマネーが日本市場に流入する可能性がある半面、新興国のインフレ懸念につながる。２０日に東京証券取引所が発表した１月の海外投資家地域別売買動向によると、買い越し額が最大だったのは欧州勢だった。３３１２億円の買い超しで北米勢の６７２億円の買い越しを大きく引き離した。

欧州勢は昨年後半にリスク資産を極端に落としたため買い戻したとも考えられるが、大和総研・資本市場調査部主任研究員の土屋貴裕氏は「イギリス経由で中国や産油国から資金が流入した可能性がある」とみている。病み上がりの欧州年金等は機動的に動けないが、経常収支が黒字の中国や産油国には投資余力が十分にあるとの見立てだ。

「海外勢は相対的に出遅れた日本株投資を本格化させているが、原油高がコストプッシュでインフレにつながるとシナリオが狂う。新興国の物価上昇が一番のリスク要因かもしれない」と土屋氏は話している。

（ロイターニュース　河口浩一　編集：伊賀大記）



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